NuRADを使わなくなったたった一つの理由|EWI講師が語るリアルな使用感と注意点

ウィンドシンセの進化系とも言えるNuRAD。
実際に購入し、レッスンや演奏でしばらく使ってみました。
……が、今はまったく使っていません。
講師という立場もあり、多くの生徒さんに機材の相談を受けますが、私が使わなくなったのには明確な理由があります。
今回はその理由と、それでも使いたくなるほど魅力的な一面についても正直に書いてみたいと思います。

【ズバリ、僕がNuRADを使わなくなった“たった一つ”の理由とは?】

結論から言います。
「持ち運びが圧倒的に不便だったから」です。

……これだけ聞くと、「そんな理由?」と思われるかもしれません。
ですが、毎日のように機材を抱えて移動し、レッスンや現場で実際に使用している立場としては、これは無視できない重大なポイントなのです。

NuRADは非常に個性的で美しいデザインをしている反面、形状がとても特殊です。
しかも、構造的に少しデリケートな印象もあり、適当なバッグやケースに入れるのはちょっと怖い…。

市販の楽器ケースはまず合わず、メーカー純正の専用ケースがようやく登場したものの、そこそこの価格がします。

これが例えば「メイン機材として毎日使う」前提だと、持ち運びだけで気疲れしてしまうんですよね。

結果として、機材の準備や移動の負担が大きくなりそうな日は、自然とNuRADを手に取らなくなっていきました。

【その点、EWIは……】

一方で、私が普段からレッスンなどで使っているEWIはというと、
ソプラノサックス用のソフトケースがそのまま使えるため、選択肢も多く、費用も抑えられます。

ちなみに私は、AKAI EWIの公式アーティストということもあり、
少しお高いメーカー純正のケースを使わせていただいていますが……笑
正直なところ、それがなくてもEWIは市販ケースの選択肢が豊富で、持ち運びしやすいのが嬉しいところです。

加えて、筐体自体も割と頑丈なので、そこまで神経質にならずとも運搬できます。

結果として、どうしても「安心して使えるEWIの方が出番が多くなる」というのが現実なんですよね。

【でも、どうしてもNuRADを使いたい日があった】

……とはいえ、ある日、どうしてもNuRADを使いたくなったことがありました。

その理由は、NuRADでないと安定して演奏できないセッティングがあったからです。

Roland MC-101という外部音源を使用したとき、
EWI5000ではMIDIの吐き出す情報が多すぎるためか分かりませんが、PolyとMonoの設定が勝手に変わってしまうことがありました。

※この点は、もしかすると私の機材環境固有の問題かもしれません。今後も検証していきたいと思います。

【NuRADは「必要な情報だけ」をくれる】

対してNuRADはというと、必要な情報だけをシンプルに出力してくれる印象で、
外部音源でもソフトシンセでも、非常に安定した吹き心地が得られました。

そしてもう一つ、NuRADの最大の魅力といってもいいのが「吹き心地の気持ちよさ」です。
息の入り方、反応のスピード、ダイナミクスの付き方……
プレイヤーの表現をそのまま音にしてくれるような感覚があり、
「今日はとにかく気持ちよく吹きたい!」という場面では、他の機種よりも自然と手が伸びてしまいます。

正直、簡単に持ち運べるなら、もっともっと使っていたいと思ってしまう……
そんなジレンマも、NuRADを手に取るたびに感じています。

【EWI USBも好き。でも…】

実は、同じように安定していて好きなのがEWI USBです。
素直な挙動だなと思う点は共通していますし、NuRADとはちょっと違うものの、吹き心地が妙に良いんですよね。
本当に全然違うんだけど、良い意味で“シンセサイザー”って感じの吹き心地です。

ただしこちらはレガシーMIDI(外部音源に接続するMIDIの端子)の出力ができないため、
ソフトシンセ専用と割り切らないと使いどころが限られてしまいます。
その点は少し惜しいですね。

【まとめ:ケース問題 vs MIDIの安定性】

NuRADは間違いなく魅力的なウィンドシンセです。

ですが、日常的な「持ち運び」まで含めて考えると、まだ気軽に使える環境が整っていない印象です。

特にケースの問題は見逃せません。
現在、公式からも専用ケースが販売されていますが、こちらのページをご参照ください👇
👉 Nu:rad 専用ケース公式ページ(kohske公式サイト)

税抜きで15,000円。
……「それくらい買いなさい」と怒られそうですけど(笑)、最近はいかに節約して音楽を続けるかも大事な時代ですからね。

これからNuRADの購入を検討されている方は、
ケースをどうするか(自作 or 公式ケース)も含めて、事前に計画しておくことを強くおすすめします。

また、自宅での使用が中心という方でも、本体を裸で置いておくのはやや不安が残ると思いますので、
しまう場所や収納方法についてもあらかじめイメージしておくと安心です。

一方で、MIDI制御の正確さや安定感においては、NuRADは頭一つ抜けていると感じる場面もあり
特定のセッティングや機材構成によっては「これしかない」という日があるのも事実です。

そんな期待も込めつつ、最近はどんどん新しい物が出てくるウィンドシンセの未来が明るくなることを願っております。


という訳で最後にちょっとだけ宣伝を…

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