とにかく小さい、軽い、持ち運びやすい

MC-101の最大の特長は、驚くほどのコンパクトなサイズと軽量性。
本体は手のひらサイズに収まるほど小さく、重量もわずか716g(電池含む)と非常に軽量です。
パーツ類も比較的頑丈に作られており、過度に気を遣わなくてもバッグやケースにサッと入れて持ち運ぶことができます。
電子機器にありがちな「繊細さによる不安感」がほとんどなく、気軽に持ち出せるのは大きな魅力です。
また、電池駆動が可能(単三電池4本)な点も見逃せません。
短時間の使用であればコンセント不要で稼働でき、野外練習や急なセッションでも即対応可能です。
さらにUSB給電にも対応しており、モバイルバッテリーやPCからの電源供給もOK。
筆者自身も実際にライブ現場でモバイルバッテリー接続での運用実績があり、実用性は十分確認済みです。
又、サックス奏者の場合、サックス+MC-101のセットで機材量が大幅に増えがちですが、
MC-101であればサックスケースの背面ポケットにも入ってしまうほどのサイズ感で、荷物の負担も最小限に抑えられます。
出音のクオリティが高い。PCM+VAのハイブリッド音源で幅広く対応
MC-101の出音の満足度の高さは、PCM音源とVA(バーチャル・アナログ)音源の両方を搭載していることに起因すると言っていいでしょう。
ざっくり言うと、生音系もシンセ系も何でもいけるということですね。
まず、PCM音源にはサックス・ブラス・ストリングス・ピアノなどの生音系が多数収録されており、実用性は非常に高いです。
PCM音源とEWIの相性は正直あまり良くない事も多いですが、後述する4オシレーターを自由に設定可能な点も含めて、弱点を上手く克服しやすくもあります。
勿論、相性の良い音色の場合はそのまま使ってもかなり満足度が高いです。
更に、Rolandの過去のシンセ実機を模したサウンドも含まれているので、シンセリードの音色などもPCM音源ではありますが、かなり良い音が入っています。
そして最大の特徴は、VA音源(Virtual Analog)の搭載。
これにより、アナログシンセサイザーに近い音色のエディットが可能になります。
オシレーターやフィルターなどのパラメータを細かく調整でき、シンセらしい太く芯のある音作りをじっくり楽しむことができます。
フィルターの効きも気持ち良いため、音選びや音作りに没頭していると、本当に1日があっという間に過ぎてしまうことも。
このPCM+VAのハイブリッド構成のおかげで、MC-101は初心者がプリセット音色でサクッと使えるだけでなく、
中級者以上がじっくりエディットして深堀りできる環境までしっかり備えています。
又、音色に大きく関わる部分としてエフェクターがありますが、これがまたしっかりしています。
ウィンドシンセに必要なエフェクターは基本揃っていますし、エフェクターを別途用意しなくても実用に十分耐えうるサウンドをしていると感じました。
コンパクトなボディーにこれだけ全てが入っているのは本当にお得に感じますね。
4オシレーター×PCM+VA=音作りの可能性は“ほぼ無限大”
MC-101では1音色あたり最大4つのオシレーターが使用可能(4個音色が重なる)で、それぞれにPCM音源とVA(バーチャル・アナログ)音源を自由に組み込むことができます。
この柔軟な構造により、単なるプリセット使用にとどまらず、まったく新しい音色の創造が可能です。
例えば…
- ピアノにシンセリードを薄く重ねることで、ピアノらしさを残しつつ、吹奏楽器的な“伸び”を持たせる
- シンセリードに、ディストーションギターのPCM音源を混ぜ、アグレッシブなリードサウンドを作る
- ブラス系のPCMにシンセパッドをレイヤーし、吹き出しは生楽器、伸ばすと未来的な広がりを持たせる
- 単純に4つの同系統VAオシレーターをデチューンして、超分厚いシンセリードを構築する
- PCMのシンセリードとVAのシンセリードを混ぜ、いつもと違うリードサウンドを簡単に作り出す
…などなど、創作の幅は事実上無限。
特にEWIとの相性で言えば、PCMの打鍵楽器系(ピアノ・ヴィブラフォンなど)の音色ってすごく扱いづらいと思うんですが、
VA音源を少し混ぜることで、吹いた時にありがちな「ぶつ切り感」や「違和感のある音の減衰」が解消され、自然で滑らかな演奏感を実現できます。
ライブ用途では定番リードサウンドに活用するだけでなく、
音色の重なりでストーリー性を持たせたり、ダイナミクスの幅を拡張したりするアプローチも可能。
実際に使ってみると、「あ、こんな音ができるんだ」「これならEWIで演奏しても違和感がない!」という発見が山ほどあります。
演奏がどんどん楽しくなる、それがMC-101の“4オシレーター×ハイブリッド音源”の魅力です。
ただ…それだけじゃないんです…。
最大4トラック×フェーダー操作で“ライブ音色ミキシング”が可能
MC-101は、単なる4オシレーターの音源ではありません。
実は最大4トラックの音源スロットを同時発音可能で、各トラックには独立したフェーダーが装備されています。
この仕組みがとにかく強力。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが…
ざっくり言えば、「それぞれ4オシレーター持った音色を、4つ同時に鳴らして(4トラック)、それを手動でミックスできる」という設計です。
つまり理論上は、最大16オシレーター分の音が同時に発音可能ということ。
(実際にやったことはありませんが、仕様上は可能なはず)
ただ、ポイントは沢山の音色が重ねられることよりも
「演奏しながらリアルタイムで音を混ぜていける」という部分。
フェーダーを上下させることで、吹いている途中で徐々に音色を切り替えたり、追加したりすることができます。
例えば…
- 演奏中に少しずつ人間の声のようなサウンドをフェードインさせる
- 任意の場所でパッド系の音を足していって、空間演出を強調
- ソロの途中で音の「厚み」や「圧」を強調して、一気に盛り上げる
といった感じ。
しかもフェーダー操作は視覚的にも派手なので、お客さんが近くにいる様なお店だと、ライブパフォーマンスとしても非常に映えます。
実際、そうした演出を入れるとお客さんからよく質問されるほどインパクトがあります。
さらに、準備次第でライブの自由度は飛躍的に高まります。
「このパートではAの音、次の展開ではBの音を足す」など、緻密な構成を事前に仕込んでおけば、
EWIでの演奏だけで“曲の展開”を作ることもできてしまいます。
ちょっとびっくりする様な拡張性ですよね。
セッティングの悩みはBANANAsuさんの無料サンプルで解決!
これまで、MC-101は設定が難しそうという印象を持たれていた方も多いと思います。
実際、これまでに「接続設定ができない」「音が出ない」という理由で、設定のためだけにレッスンを受けに来た生徒さんも多数いました。
しかし今回、私の友人でもあるBANANAsuさんがとてもありがたい取り組みをしてくださいました。
BANANAsuさんの音源ショップでは、EWIに特化したMC-101の音色プリセットが販売されているのですが、
なんと今回、接続確認用として無料サンプルファイルが公開されています。
👉 BANANAsuさんの音源ショップ(BOOTH)はこちら
このサンプルの優秀なのは、MC-101をUSBでPCに接続し、ファイルを転送するだけで導入でき、
簡単な設定ガイドも付属しているので、ほんの少しだけEWI側・MC-101側の設定を調整すれば、すぐに音が出せる状態になります。
MC-101はプロジェクトファイル単位で設定が保存されているものが多く、EWIの音を制御する部分もその様な仕様になっています。
その為、この無料のファイルを使用するだけで、EWIとMC-101の音を出すための基本セットアップが完了するんです。
つまり、これまで設定のためにレッスンが必要だった部分を、かなりの部分自力でカバー可能になったということです。
ただし注意点としては、この無料サンプルには音色が1つしか収録されていないため、
「音色のバリエーションをすぐに使いたい」という方は、BANANAsuさんの有料音色パック(16音色)を購入するか、
私のような講師のレッスンを受講して音色設定をサポートしてもらうという方法が必要になるでしょう。
音色を自分で弄れるという方は、どんどん音色を変えながら楽しんでいってください。
ともかく、MC-101導入の最大のハードルだった「最初の音出し設定」が、
BANANAsuさんのこのファイルによってぐっと簡単に、誰でもできるレベルまで下がってきたのは、本当に大きな進歩です。
本当に感謝ですね。
ちなみに彼のYouTubeチャンネルで有料の音源の音色を聞くことが出来ます。
かなり良さそうですよね。(今度買ってみたい気もします…)
音色のプリセットパックの販売は、今後Vol.2、Vol.3と続くそうです。
※BANANAsuさんは、T-SQUAREの伊東たけし氏の音色も作っている方です。
操作性・安定性・出力の柔軟性も◎ ライブ・練習両対応の安心スペック
MC-101は、操作に多少の慣れは必要ですが、使い込むほどに「直感的に扱える設計」であることが分かってきます。
特に便利なのが、エフェクトやフィルター等をリアルタイムで操作できるノブの存在です。
これらのノブは、事前にリバーブやディレイ、フィルターのカットオフなどをアサインしておけば、
ライブ中やリハーサル中にワンタッチでエフェクトのかかり具合を調整することが可能です。
たとえば「ちょっとリバーブが深すぎたな」「もう少しディレイを目立たせたい」といった場合でも、
ノブを回すだけで即座に対応できるのは現場では本当に助かります。
さらに、モノラル/ステレオ出力両対応なので、どんなライブハウスや会場でも柔軟に対応できます。
私自身は普段モノラル出力を選ぶことが多いですが、空間系エフェクトを広げたい時はステレオ出力で立体的な音像を作ることも。
電池駆動に関してですが、私の経験上、ライブ中に電池が切れたことはありません。(※メーカー表記では約4.5時間駆動)。
尚、充電池(エネループなど)を用意しておくと安心感が倍増します。
コスト的にもランニングコストが抑えられるため、ぜひおすすめしたいです。
又、この記事はEWI5000前提で書いていますが、NuRadなどのMIDI対応ウィンドシンセでも同様に使用可能です。
最近は当ブログにNuRadでの検索で訪れる方もすごく多いので、何の音源を使用するか迷うところだとは思いますが、NuRadでの使用もとてもお勧めできます。
今後の拡張性を考えても、長く活躍してくれる音源といえるでしょう。
価格はやや高め? それでも“コスパ最強”な理由と、他の選択肢について
MC-101は実売価格で約6万円前後(※2025年6月時点)と、
ウィンドシンセの外部音源としては一見やや高価に感じるかもしれません。
ですが、PCM・VA・軽さ・安定性・操作性、全ての要素が揃った1台と考えると、
正直これは「コスパ最強」です。
- 小さくて軽くて持ち運びがラク
- 音も良くて、出音がクリアで安定
- 電池で動くから屋外でも使える
- イヤホンジャック付きで練習も快適
- ノブでエフェクトや音色調整も直感的
- そして4オシレーター×4トラックの音作り
このクオリティで6万円なら納得…むしろ安いぐらい。
しかもハード音源なので、ソフト音源のようにDAWやOSトラブルに悩まされることがほぼないのも嬉しいポイント。
他の選択肢:KORG minilogue xd(module)
より本格的なシンセ音色を求める方には、KORG minilogue xd(module)も人気です。
こちらはより深く、緻密なシンセ音作りを楽しみたい方向けの製品で、
音の厚み・迫力ではMC-101以上という声も多く、よしめめさん(EWIエンドーサー)も高評価をしていた機材です。
ただし、重量や持ち運びやすさ(サイズ:500 x 179 x 85 mm、重量:約2.6kg(MC-101は約700g)を考えると、
サックスとの同時運用にはややハードルが高めという印象。
その点、MC-101は「サックスがメインで、EWIも時々使いたいという人」にはちょうどいい万能機だと言えるでしょう。
EWI5000・EWI4000S・NuRadなど、広範囲なウィンドシンセに対応しつつ、
ライブ・練習・録音、どんな場面にもストレスなく持ち込めるのは唯一無二だと感じますね。
実際に吹いてみました|MC-101演奏動画
今回紹介した内容をもとに、実際にEWI5000とMC-101を組み合わせて演奏してみました。
- 最初は透明感のあるフルート音色
- 次に、オルガン系の音色を2種類
- そして、SAWリードを基調に、オルガンと人の声をレイヤーしたようなちょっと変わり種の音へ
- シンプルで綺麗な音色を選んで、リバーブで雰囲気を良くする感じ
- 最後は、SAWリードにオーバードライブギターのPCM音源を重ねた攻めたサウンド
どうでしょう、結構楽しいですよね。
ギターの音程は+5にしているんですが、カラオケに合わせて遊んでいる内に良い感じの仕上がりになりました。
こうやって「遊びながら音を作っていける」のがMC-101の最大の魅力なのかもしれません。
総まとめ|EWI用外部音源としてMC-101が最強な理由
MC-101は単なるシンセサイザーではなく、
ウィンドシンセで音を遊び倒したい人のための、ポータブルな最高の相棒です。
- 小さくて軽くて、どこにでも持ち運べる
- 音も本格的で、生音系もシンセ系も満足できる
- 操作も慣れれば直感的で、設定もBANANAsuさんのお陰で簡単になった
- 4トラックの操作・エフェクトなど、ライブでも映える多機能ぶり
そして何よりも、吹いていて楽しい。音を作っていてワクワクする。
その体験を是非味わってもらいたいなと思います。
「PCが無くても、これだけのことが出来る」
そんな驚きをMC-101は確かに与えてくれる一台です。
では、今日はここら辺にしておきましょう。
設定とかで詰まったらレッスンに遊びに来てくださいねー(笑)